そこから、岩戸川沿いに歩いて15分程度のところに「天の安河原(仰慕ヶ窟)」があります。神話によると、お隠れになった天照大神をいかにして連れ出すかを相談した場所とのことで、こちらは八百万の神を奉られているとのこと。折角なので、そちらへ参らせてもらったのですが、岩戸川の景観はなかなか見事なもので、神話の旅をしているという感じにさせてくれるぐらい、山深いところです。あまり、観光客がいないのかな?と思っていたのですが、天の安河原へ着いた時には、4〜5名程度の参拝客がいらっしゃいました。
まず、ここを見て驚いたのは、河原の岩を積み上げているのですが、その数がすさまじいので、なんだかこの世の物とは思えない景観を成していました。なんでも、願い事を込めた石を積み上げることで、願いがかなうとのことなので、私も一つやってみたのですが、風景的にはひいてしまう雰囲気が漂っています。
天の安河原から西宮に戻ると、また十数名の団体が拝殿横から遥拝に向かうのが見えました。本当に結構な人が、遥拝へ向かわれているのだと思い、私も申し出ることにしました。社務所のお姉さんにその旨を伝えると、しばらくお待ちくださいとのことで、社務所の前にある休憩所のベンチに座って、ミネラルウォーターを購入しました。
それを半分程飲んでいると、案内の声がかかり、振り向くと、神官の方一人だけ・・・。あれ?と思っていると、どうやら私だけだった様で、まず、神域に入ることから御祓いをしていただき、境内の説明もいただきました。なんだか、一対一ということにちょっと気負いしたのですが、贅沢なことではあります。東宮と西宮に分かれているのは、天照大神の名前が2つあることから、ふたつの宮を置いたとのこと。なるほど、と納得してから、いよいよ神域に立ち入ることになりました。神域といっても拝殿の後ろなんですが、唯一天の岩戸を拝む事ができる場所になっています。神官の方にお話を伺うと、対岸の森のくぼんだあたりが天の岩戸とのこと。禁足地の為、古来から神官をはじめ、地元の方、工事業者など一切立ち入ることが禁じられているので、手を加えることができず、木々が育ったままの状態になっているとのことです。こういうことが、ずっと守られてきたわけですから、今後も守られるべきだとは思いました。
そういえは、神域の中の特に重要な場所ですから、カメラでの撮影を遠慮していただく様に促していました。
霊験あらたかな場所を参拝した後は、神楽殿の説明をしていただき(半紙に紙切りを行ったものを四方に飾るという風習についてなどのことです)、最後は、社務所にある写真を使っての説明で遥拝の案内は終了。これだけやっていただいて、無料というのは心苦しいと思ったのですが、そこかしこのお社で、お賽銭をいれているので、これで代用と身勝手なことを考えておりました。
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