そこから八甲田丸へ向かい、展示場に入ります。入口というよりも、「乗船口」といった感じで、今後は「桟橋」の復元も視野にいれている様で、新しい桟橋が駅の跨線橋に向かって伸びていました。ただし、まだ完成していないとかで、利用することはできませんでした。
八甲田丸の中に入り、受付で500円を支払い、展示場に上がります。時間は2時間半程の時間があるので、普通の展示であるならば、ちょうどいいぐらいだと思いながら、見学を開始します。見学は3階デッキ、4階操舵室、冬季以外はプロムナードならびに煙突展望台、1階車両甲板、地下機関室といった具合で、かなり見応えがある感じです。まず最初に目にするのは、明治〜大正の船室の風景ならびに、当時の風俗資料です。風俗資料といっても、カメラ・時計・蓄音機などが展示されているぐらいで、こちらはどちらかというと、とりあえず置いたといった感じが無くもありません。船室の風景は、明治期・大正期の船の様子が分かり、かなり興味を覚えました。続いて、アドベンチャーシアターで、海の生物に関する立体映像を見ます。これは、ちょっと期待外れというか、何故八甲田丸にこれがあるのかちょっと不思議でした。次は、その後の青函連絡船に関するコーナー。といっても、東奥日報の記事の拡大版が並べられているだけなんですが、こういうものがあると、逐一見てみたくなります。特に印象的だったのは、「ジャパンドリーム」号に関する記事。青函連絡船の中には、高級客船に生まれ変わり第二の人生を歩んだものがあるそうです。現在は、このジャパンドリーム号はフィリピンドリーム号となり、シップホテルとしてフィリピンのセブ島に停泊しているそうです。ただし、これは平成8年の新聞記事によるもの。今から7年も前の話になりますから、今はどうなっているのか分かりません。他にも、ギリシャ〜イラク航路に付いているものが2船あるとかいった記事もありました。 |
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続いて、青函連絡船の歴史・技術に関するコーナーに入ります。本当は、こちらがメインだったんでしょうけど、それに気づかなかった私は、時間配分を大きく間違ってしまった感じです。まず、最初に最初の青函連絡船「成臨丸」に関する資料・模型があります。模型は、他にも、各世代の青函連絡船があり、特に青函連絡船として、はたまた世界の海難事故としても有名な「洞爺丸」の模型もありました。個人的には、成臨丸の当時の模型に特に興味を持ちました。昔の3等船室は、蚕棚方式の簡易2段式の桟敷部屋になっており、その乗降に関しても、かなり簡素なものだった様です。1等・2等は、デッキから乗船口があるそうですが、3等は手荷物搬送路と同じところからの乗降で、そこまでは艀を使っていたそうです。その為、荒天時は揺れが激しく、場合に寄っては乗船客が転落してしまうという事故もあったそうです。ちなみに、就航時の運賃は1等3円、2等2円、3等1円。その後、運賃が改定される度に値段差が開いていくといった状態で、2等の値段が3等の3倍以上の時もあった様です。
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その奥では、当時のグリーン室のシートをそのまま使ったビデオシアターがあり、「青函連絡船」に関するビデオが上映されていました。途中から見るのは、何だから最初から見ようということで、他の資料を先に見ていたのですが、一向に終わる気配がありません。聞こえて来る音声では、洞爺丸事故に関することをやっており、ここは是非見たいなぁと期待しながら、他の資料に目を向けます。特に気になったのは、脱出用シューターに関するところ。これは、ビデオの方で説明があったのですが、今日飛行機の非常用設備として使われる様になった脱出用シューターは、もともと青函連絡船で使われたのが最初だったそうです。意外な事実でした。
ところで、全く終わる気配が無いので、とりあえずビデオシアターの座席に腰をかけることにしました。座席は、グリーン席用の座席ということで、そのリクライニング角度は感覚的にはフルフラットでは無いかと思うもので大変驚きました。これだったら、眠ることも可能だなぁと思います。高速バスのリクライニングシートよりも倒れるのでは無いかと思うぐらいの角度です。実際には、160度〜170度程度なんでしょうけど、当時としては画期的だったのでは無いかと思います。
ビデオに目を向けると、先の脱出用シューターに関することをやっています。続いて洞爺丸事故を受けて作られた新造船についての説明に入りました。特に、安全に関しては三重の設計思想を用いることで、洞爺丸の事故を再発させない為の工夫を重点的に行われました。その成果により、洞爺丸事故以後、人身災害は起こっていない世界で有数の安全な船として青函連絡船は名声を上げたそうです。
ところで、このビデオの下に、上映時間があったのですが、そこには「約2時間」とあるではありません。しまった、2時間もあるんだったら、特に気になっていた、洞爺丸の事故に関する部分を先に見ておけば良かったと悔やんでしまいます。そうなってくると、このビデオを悠長に見ていられないことになってしまいます。時計を見ると、まもなく15時。この後、車両甲板や操舵室も見学する必要があります。青森駅を出発するのが、16時45分なので、青森滞在時間が2時間を切った状態です。出来れば、16時までに出て、周囲の風景も見て回りたいと思っていたので、急ぎ足になってきます。
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続いて操舵室へ向かうのですが、途中、寝台室・船長室・サロンなどを見学することが可能です。これらは、展示のみで硝子越しに見ることが出来ますので、体験という面では少し心残りです。操舵室にあがると、青森湾が一望できます。ここに2台の青函連絡船シミュレーターが置かれてあり、自由に遊ぶことが出来ます。といっても、かなり簡素なものなので、普通にやっていると、すぐにゴールしてしまうんですけど・・・。操舵室からは外部甲板(プロムナードと呼んでいました)、煙突展望台に行ける様になっているのですが、先に説明した様に、冬季期間ということで、閉鎖されていました。
続いて、エレベータで1階に向かいます。車両甲板です。実際の列車も置かれており、この施設の一つの目玉になっています。なんでも、車両甲板まで公開している施設というのは、珍しいそうです。まず、エレベータで降りると、まず最初に「車掌車」が目に入ります。実際に車掌車を積み込むことがあったのかどうかはわからないのですが、車掌車自体が珍しいので、じっくりと見てしまいます。続いて、青森ベイブリッジに関する資料。なんで、こんなところに・・・と思うのですが、ウォーターフロント開発の一環だそうです。そして、郵便車が2両、キハ80が一両、DD16が一両、空き貨車が何両か置かれています。まぁ、鉄道は好きなんですけど、実際に動いている物を乗る方が好きなので、このあたりは一通り見て終了。昔の車両の出入り口には、「ねぶた」が飾られていたのが一際目立っていました。
次に、地下の機関室の見学です。こちらは、どちらかというと、一応見せてもらえるというだけで、さ〜っと流してしまいそうな雰囲気です。実際、私もさっと流してしまっただけでした・・・(^^ゞ 面白い様な怖い様な雰囲気が漂っているのですが、それを助長するかの様に、地下に降りる階段のところに「これより海面下」と書いてあったりします。うーむ。
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