上一万で5〜6人下車されて、乗り換えたのですが、この駅から道後温泉へ向かうお客さんが何人か待っている状態でして、その方々が「次の電車は乗れるかな?」問いた様なことを話されています。いったいどういう状態なんだ?と思って、やってきた電車を見てびっくり。
松山観光のメッカである道後温泉ですから、その乗客も半端ではなく、無理矢理押し込まないことには入れない状態。特に電車本数が少ないと言うわけでもなく、すぐ後ろに次の電車がやってきているのがわかります。ほとんど続行運転といった状態ですが、両方とも同じ様な状態です。
花見会場である道後公園に向かう客と、道後温泉に向かう客が集中しているといった状態で、道後温泉のネームバリューには本当に驚くばかりです。なんとか無理矢理乗車して3駅、道後温泉駅に到着。今回は、少し早いので、帰りの坊っちゃん列車に乗車できるかも知れないと思い、先に乗車券売り場に向かいました。運賃は300円。通常の2倍です。大体30分に一本程度の割合で運転されている坊っちゃん列車は、整理券を取得した上での乗車となるそうで、運賃は乗車時に車掌に支払うそうです。その整理券は、次に発車する坊っちゃん列車のみしか配布していないそうで、事前にもらう事はできないそうです。
ということで、とりあえず坊っちゃん列車の時間だけ確認して、椿湯へ向かう事にしました。道後温泉本館の他のコースも気になったのですが、このお客さんの量となると、そりゃすごいものがあるだろうと予測しての行動。もともと、道後温泉西の湯として開湯されたとのことですから、お湯自信に問題は無かろうと思ったわけです。
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お値段は、300円と同じですが、こちらはロッカーの使用が有料になっています。といっても、10円なので、それほど問題があるわけではありません。しかし、例え10円でも気軽にロッカーを開けられないなぁなんて思ってしまいます。細かいことなんですけど、私は結構ロッカーの開け閉めをする方なので、コインロッカーって苦手なんですよね。特に、ロッカーを閉めた後で、何か忘れていたことがなかったなんてことをいつも考えてしまうわけです。
まぁ、うまくやれば10円で済むわけで、例え10回やっても400円。これでも十分に安い温泉料金だと思います。脱衣場は結構広く、道後温泉本館よりも近代的な雰囲気ですが、それでも、他の温泉と比べると見劣りしてしまいます。やっぱりお湯で勝負をしているわけだと思ってしまいます。
浴場に入ると、大きな湯船が真ん中にあり、周りが洗い場になっています。お客さんが本館よりも少ないことから、こちらの方がゆったりと入ることができる感じです。湯船が浴場の真ん中にある関係から、お風呂というよりも、プールといった感じで、こちらの方が、「坊っちゃんが泳いだ」感じがしてしまいます。お湯は本館同様、少し熱めで長湯が出来そうな感じはありません。洗い場が無い方向の端は通路になっているのですが、これがプールサイドを思わす感じです。こちらには、「浴場で寝ることを禁止」する旨のことが書かれてありました。確かに、このプールサイドもとい、通路は寝れそうな感じです。豊富にお湯が流れているのですが、洗い場のカランには、「節水」の札がついています。なんだか、不思議な感じがしますが、水不足はやはり深刻なのだろうと思ってしまいます。
本館は休憩所が有料になっていましたが、こちらの椿湯は2階の娯楽場が無料で開放されていました。娯楽場には、将棋や囲碁などが置いてあり、自由に利用できる様です。そういう面で考えるとこちらの方がお得なんですけど、やっぱりメジャーどころの本館の方へお客さんが流れるのだろうと思います。私もそうでしたからね。
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さっぱりして、椿湯を出て、商店街の中にある一件のおかき屋さんに入りました。おかきを店頭販売しており、その場で食べられる様になっています。勿論、テイクアウトも可能です。濡れ餅というのが有名だそうで、やわらかい食感のおかきだそうです。私は、草加煎餅が好きなものですから、この濡れ餅と普通の煎餅を購入。道々、食べてみると、「濡れ餅」が流石は名物らしく、かなりおいしいと感じました。
櫛に刺した濡れ餅をかじるわけですが、湿気た煎餅と思ってしまう食感に驚いてしまいました。もち米を使っているとかで、お餅が煎餅に変身する課程といった感じです。先に濡れ餅をいただいたものですから、普通の煎餅があまりおいしく感じられなくなっていたのが、人間の味覚のいい加減なところですね。
駅に到着すると、坊っちゃん列車が発車する間際でしたので、ちょうど良い時間。5分程まっていると、列車が発車し整理券の発行が開始されました。整理券をいただき、次の坊っちゃん列車の発車時刻まで暇つぶしということになります。さて、いったい何しようと思ったところ、ふと目に止まったのが、道後温泉駅の2階資料室。
伊予鉄道と道後温泉の昔といった展示スペースになっており、写真が飾られています。この建物は最近作られたそうですが、昔風につくられており、初代道後温泉駅に似せてつくられた駅だそうです。また、伊予鉄道は、大阪の南海鉄道に次ぐ日本で2番目の私鉄だったそうです。当初は、伊予鉄道と松山電気鉄道(だったと思うのですが、不確かです(^^ゞ)の2社が凌ぎを削って争っていたそうです。道後温泉へのルートにしても、城南線と城北線があるのはそれの名残だそうですし、松山市北側の海沿いにある梅津寺パークと、伊予市郡中の五色浜公園は当時の名残だそうです。
展示スペースは主に昭和以前の写真が飾られており、30分程度の時間だったら、あっという間に過ぎていく感じです。まぁ、興味のある無しによって、待ち時間に足る内容だったかどうかは大きく変わる様に思いますが。
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そうこうしているうちに、発車時刻近くになってきましたので、階下のホームに出ると、すぐに坊っちゃん列車が入ってきました。車掌が出てきて、「整理券番号1番」をお持ちの方いませんか?と声をかけられました。手にもっていた整理券にそんな番号あったかなぁ?なんて思って見てみると、マジックで消えかかった1という文字を発見し、乗車と相成りました。運賃は300円ですが、1日乗車券を持っていると200円に割り引かれます。でも・・・これで250円分の乗車となるわけですから、あまりお得感は感じられません。
お客さんが多いかと思ったのですが、意外にも少なく、中はそれこそ「マッチ箱の様な電車」です。前方の機関車は蒸気を吐き出しながら走る「ディーゼルカー」。後で知ったのですが、かなりハイテクな機関車とので、この蒸気も水蒸気発生装置を使っているそうです。まぁ、そりゃ、そうなんでしょうけどね、本物の蒸気機関車だったら、あんなに簡単に機関を止めたりすることは出来ないでしょうからね。
言うなれば、ディーゼルカー牽引の客車列車なわけで、特別料金として200円、乗車券とセットの場合は150円アップということになります。私が乗車したのは、道後温泉から松山市駅までで、他に一日数便だけ車庫のある古町へ行くものがあります。途中駅は、上一万、大街道、南堀端の3駅のみ停車で、他の駅は基本的に通過。南堀端駅では、JR松山駅方面に乗り換えられる客がいない場合は、通過になる様です。
特別な作りの列車に乗るので、特別料金と言われそうなんですが、実際は、この運航の為に車掌一名、運転手2名が乗務されますので、単純に運航経費がかさむようです。勿論、ディーゼルカーであることも関係してくるとは思いますけど。途中駅からも、空いていれば乗車できる様で、大街道駅から乗車された親子連れもいらっしゃいましたし、道後温泉から上一万までの1駅だけ乗車される方もいて、何はともあれ、観光客の的であることには間違いありません。お客さんが多い時は、立ち客も出るそうです。
ちなみに、現在、坊っちゃん列車は2列車運航されており、片方が機関車と客車各一両づつの2両編成、もう一両が、機関車1両、さらに細かい客車が3両の4両編成で運航されています。この小さい客車の場合、各車両ごとに車掌が乗りますので、更に運航経費がかかりそうです。
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乗り心地は、ダイレクトに線路の振動が伝わってくる感じで、レトロな乗り心地といったところでしょうか?なかなか良いものです。窓から入る風が心地よく、薄暗い車内が雰囲気を醸し出してくれます。明治時代にタイムスリップした気になります。ところで、大街道の駅と南堀端の駅で、運転手のうちの一人が、機関車から客車へ飛び移るという「芸!?」を見せてくれました。まぁ、普通にやっているだけなんですけど、最初は運転手が二人いるとは知らず、列車が停車する前に前から飛び移ってくるので、いったいこの列車は無人運転が可能なのか?それとも、ブレーキをかけたまま、席を立つ事ができるのか?なんて思ったりしました。それ以前に、客車と機関車の間に渡り板があるわけでは無いので、失敗すると、落ちてしまう危険性があるんですけど・・・。
終点の松山市駅は、行き止まり式になっており、下車ホームに停車した列車はそのまま頭端部へ移動し、頭端部でスイッチバックして、向かい側の乗車ホームに移動するという方法を取っています。ところで、これは普通の路面電車の場合で、今回の機関車が先頭に付く様な場合はどうなるのかと思い、しばらく見てみる事に。後ろには次の路面電車が待っているという状況ですので、あまりのんびりもしていられません。転車台があるわけでも無いので、不思議だなぁなんて思っていたら、まず機関車と客車を開放し、機関車だけ前方に進め、スイッチバックでポイントに入ります。ポイントの真ん中で停止させて、横にあるボルトを外したかと思うと、乗務員が横方向に車体を押し、くるっと回してしまいました。台車を軸に本体だけ回るといった仕掛けの様です。ちょっとびっくり。客車は、電動か何かでゆっくりと動く様ですが、後ろが詰まっている様ですので、乗務員が一斉に機関車を押していました。こちらの方が早いということなのか、それとも、油圧で軽くなる程度なのかはわかりませんが、結構みなさん、必死で押されている姿が微笑ましいと思ってしまいました。 |