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島根県西部地区体験旅行 その4(2002年9月15日〜16日)

 

 何はともあれ、弥栄村役場までやってこれたので、ほっと一安心。そのまま、旭インターへ向けて車を走らせます。ここからも、山道が続くのですが、道は随分と良い感じで、周布ダムの貯水量が随分と少ないということが気になる余裕がありました。今まで、通ったダムはどちらもそんなこと気にすることができていませんでしたから・・・。
 国道186号に出ると、もうスピードで走る車の波に乗るのに、一苦労。随分と道が違うもんだと驚きながら、今度は金城町役場を右折、低温サウナがあるきんたの里をすぎて、今度は、高速道路沿いに旭ICを目指します。旭ICを過ぎると、小さな温泉街の雰囲気漂う町並みがありました。それをそのまま進むと、おおきなアップダウンが繰り返され、紙漉き体験ができる、風の国に到着です。

 風の国に到着した時には、雨が降り出しており、あいにくの天気といった感じです。とりあえず、風の国ホテルのフロントの方に入ろうとしたら、なんとまぁ、「歓迎 ○○様」とあるではありませんか。紙漉き体験だけなのに、きちんと名前が書かれてあるのには、驚きでした。フロントで紙漉きの体験の話を告げると、フロントの人は、予約状況などを完全に把握されている様で、何の資料も見ずに、インターネット予約であることがわかっている様子で、温泉の割引に関しての説明がありました。電話予約だと通常料金の温泉が、インターネット予約だと半額になるそうです。お得。

 向かいの施設の工房に足を運び、紙漉き職人さんに紙漉き体験のことを告げると、まず最初にどのサイズを行うかという点から説明してくださいました。基本ははがきサイズ2枚とのことで700円でだいたい40分とのこと。今回は、A4サイズ2枚1500円を選択することにしました。ちょっと困った様子だったのですが、まぁ、そこは結構押し切ったという感じです。
 で、紙漉きを行うにあたって、草花を間に挟み込むやり方をおすすめされたので、言われるままにそれを選択。これだと、合計4回の紙漉きが出来るとのこと。たしかに、これだったらお得です。で、まず最初に、挟み込む草花というところから入るのですが、その草花を採集するところから始まります。おっとそこからかと、ちょっと驚いた感じはありましたが、まぁ、当たり前といえば当たり前ですね。その際、紙漉きの原料についての説明の為、先生もいったん雨の降る中、外に出てきてくださいました。今回は、楮(こうぞ)という木を使うとのこと。他にも、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)といったものが和紙の主原料だそうです。今回は、作りやすい楮を使うとのことでした。

 和紙に挟み込む草花はできる限り平べったいものが良いそうで、特に枯れ葉なんかは誰が作っても売り物に見えるぐらいの仕上げになるそうです。でも、私たちが採集してきたのは、花びら中心。先生が見かねて、枯れ葉の一部を提供してくださいました。
 今回は、あくまで「紙漉き体験」ですから、紙漉きまでの原料の作成部分は、ありません。一通り、前提条件としての説明が入ります。紙に一番いいのは、指がちぎれそうなぐらい冷たい冬の日だそうで、紙は紫外線により自然作用で白くなっていくそうです。ゆえに、雪の上で干すとより一層よいものができるとのことでした。
 原料を見ずに混ぜ、棒でかき混ぜます。しかし、見ずと紙の原料だけでは、うまく混ざらないらしく、ねりと呼ばれる粘液を混ぜる必要があるそうです。このネリの原料は、オクラの親戚だそうで、トロロアオイという植物の粘液だそうです。この粘液もどろっとしている方が良いらしく、今日の様な湿度の高い日はどちらかというと、サラサラとしている状態だそうで、紙にはあまり良い状態では無いそうです。湿度が低いという点から考えてもも、紙漉きは冬の方がやはり良いということを力説されていました。
 ちなみに、このネリの効果は15分程度だそうで、それをすぎると、またネリを入れて拡散をさせないと駄目だそうです。

 ということで、いよいよ紙漉きの開始となったわけですが、Y氏、A女史、私の順番で紙漉きを行います。間に草花をはさむので、1人につき2回ずつ紙を空いていきます。しかし、これいろいろと流儀があるのか、なかなか難しいんですよね。紙漉きの枠(名前を何て言うのか失念しちゃいましたr(^^;))をいれる時からやり方がある様で、必ず内側に向かって入れないと駄目だそうです。外側から入れると、「ドジョウすくいじゃ無いんだから」と注意されちゃいました。そして、すぐに枠を振るのですが、波が真ん中であたる様な感じと言われても・・・う〜む、全然うまく出来ない。
 そして、水切りを行い(この時、角度がきつすぎると、紙の繊維が偏ってしまうそうです)、漉き簀を取り出すのですが、まず最初に、右手で上を持ち、左手で下を持ちます。次に、上下逆にして、漉いた紙を置き場に持っていくという作業になります。この漉いた紙を漉き簀から分離させる時にかなり手間取ります。ゆえに、どうも端っこが分厚い和紙が出来てしまうんですよね。

 結局、なんだかんだと話をしながら、やっているとすぐに時間は過ぎてしまうもので、2時間半ほどかかって紙漉きを終了。なかなか面白いものだと思いました。先生も、昨日のそば打ちの先生とは違って、職人さんといった雰囲気が漂う方だったのですが、何度かやっている打ちに、だんだんと打ち解けていった感じで、なかなか楽しく紙漉きができました。これだけ時間がかかって、1500円って安いかもと思ったのは、言うまでもありません。今回の、そばうち並びに紙漉きともに、とても良い体験ができたと思いました。

 で、後は乾かすのですが、自然乾燥ではすぐにもって帰れませんので、巨大な乾燥機(大きなアイロンみたいなもの)を使って、乾かしてくれるとのこと。その間、食事もしくはお風呂でもということだったので、インターネット予約特典の300円で温泉に入ることにしました。
 こちらの風の国のお風呂は、れっきとした温泉で、「風の国温泉」となっています。そんなに大きなお風呂では無いのですが、弥栄村のお風呂よりは充実しており、景色も公園の真ん中の池を見ながらと、なかか良いロケーションです。晴れていると、公園からこちらをのぞいている様にも見えるのですが、あちこちに、特殊なコーティングをしているので、外からは見えない旨の貼り紙がありました。ちなみに、そういう場所ですから、露天風呂はありません。まぁ、外は雨ですから、露天風呂だと逆に冷たいので、これで良かったのですが・・・。

 そういえば、風の国ホテルのフロントは変わらないのですが、レストランとお土産物売り場が幾分リニューアルしていた様です。レストランの混雑を緩和させる為か、若干レストランが広がっている様に思いました。また、お土産物コーナーも以前に比べて広くなっており、お土産のお菓子なんかはいろいろと販売されていました。ただ、以前販売されていた、「弥栄村のもぎたてトマト」は無くなっており、ちょっと魅力半減といった感じでした。
 ちなみにこの日は雨が降っていることもあり、レストランはさほど混雑している様子はなかったのですが、まぁ、思いっきりお昼の時間を外したことも原因しているでしょう。

 1時間後、工房に立ち寄り、出来上がった紙を受け取りに行きました。乾燥機にそのまま貼り付けてある状態で、それをペリペリと外していくのもなかなか楽しいものです。出来上がりをみると、思ったよりも分厚く、私の作品に関して言えば、厚さ何ミリ?という様な和紙が出来上がってしまいました。間に入れた草花も、影でしかなく、やはり職人技とは全然違うと感じます。先生の話によると、厚さ20ミクロンの紙を漉く職人さんがいたとのことですが、それは、本当に見事な紙漉きだったとのこと。そんな職人さんにとってみれば、私の紙は、紙じゃなく、原材料を延ばしただけなんでしょう(^^ゞ

 そうそう、この和紙というのは、水に浸しておくと戻るらしく、リサイクルが効くそうです。ですから、天然のリサイクル用品と言え、エコロジーを考えるんだったら、和紙という選択肢は大きいですよね。あまり、大量生産には向いてなさそうですが・・・。で、流行りということもあって、楮にケナフを混ぜた和紙を作ってくれという依頼がくるそうです。これというのは、和紙職人さんにとってみれば、わざわざ品質を落とせという注文だそうで、これが一番現場のことをわかっていないと憤りを感じるそうです。
 ケナフはエコロジー時代の有名人の様に扱われており、あちこちで、ケナフを使った名刺やらパッケージなどを目にする機会が増えましたが、基本的には二酸化炭素の吸収量が良いので、温暖化に一躍買っているという点で注目されていますが、「焼いてしまうと、吸収した二酸化炭素が放出されてしまう」そうです(先生談)。だから、ケナフを使って何か使えるものは無いかということになり、紙の原料として注目されたとのことですが、これってケナフ紙を焼いてしまうと、普段より余計に二酸化炭素が放出されるってことじゃないかと思うんですが・・・。大丈夫なのかな?

 個人的な意見としては、ケナフ紙がエコロジーの覇者の様な有名人扱いではなく、普通に使っているといった状態が良いのだと思いますが、なんだか、一過性の流行になりそうな気がしてなりません。ところで、ホントにケナフ紙焼いても大丈夫なのかな?

 さて、14時40分に風の国を出発。雨は、本降り。駐車していたスペースに落としきれていない土が、見事に、流されていました。これで、後は高速道路を走れば、タイヤ付近の泥も落としくれて、大阪に着くころには、綺麗サッパリってところ。雨に感謝せねばなりません。いや、ホントあの状態だったら、いったいこの車でどこ行ってたのかと思える状態でした(^^ゞ
 雨は、本降りというか、かなり強く降っており、なかなか強烈な雰囲気です。順調に車が走ってくれればと願っていると、なかなか良い具合に車が流れてくれ、渋滞もなく山崎パリアまで到着。福崎の手前で、渋滞情報が流れ、どうやら宝塚東トンネルを先頭に16キロとのこと。この区間を抜けるのに40分かかるとラジオが告げます。その情報通り、神戸北ICあたりから、急激に渋滞。一時は、停滞といった状態にまでなってしまいました。
 原因が何かはわからないまま、宝塚西トンネルをすぎると、元通り順調に流れ、午後7時20分に吹田ICを出ることができました。そんなこんなで、荷物をおいて、ガススタ満タンにして、午後8時5分返車を終えました。走行距離、1020Km。やっぱり浜田は遠いと感じずにはいられない距離でしたが、なかなか充実した旅を終えました。

 さて、次回はいついこうかと考えるこのごろ・・・あ、そういやもう切符の手配終わってたんだ・・・(^^ゞ。

 

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