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餘部鉄橋 2003春編(2003/5/24)

 

 このあたりが、竹野温泉ということらしく、温泉旅館なのか民宿なのかはわからないのですが、何件か並んでいます。そういや、最近は民宿ってあまり利用しなくなったなぁと思ったのですが、これは予約のしやすい方を選んでしまうってことなのかもしれません。別に嫌いというわけではなく、値段も食事も魅力あるところが多いんですけど、当たり外れも多かったりするんですよね。このあたりが微妙なところなのかなぁと思ったりします。最後に利用させていただいたのは、青森県弘前市の民宿まつわさんで、もうかれこれ8年程前のことになりそうです。

 どうも、話が脱線しがちなんですが、竹野温泉の看板が見えると、すぐそこが海水浴場です。これって、素晴らしい立地ですよね。夏は海水浴、冬は温泉って訳なんですもんね。いやいや、こういうのはいいもんです。また、余談ですが、琴引浜の海水浴場にあった、無料の露天風呂(温泉だと思います)って、まだあるのかなぁ。夏の日焼けした体には、あれが良く滲みたんですよね。

 日本の渚100選、水浴場55選に選ばれた海水浴場で、景観・水質・砂浜の三拍子揃った海水浴に最適の浜だと看板にあります。さすがに、この時期、泳いでいる人はいないのですが、何組かの方が海辺でくつろいでいました。キャンプをされている方もいる様です。砂浜は、シーズンで無いこともあってか、海草が目につきますが、海草をとれば、綺麗な真っ白な砂浜という感じです。海は、コバルトブルー色で、半島がアクセントになり見事な景観だと思います。近くには、北前船の記念館があるそうですが、今回は時間が無いので割愛。凪の海でおだやかな時間を過ごすのも、これもまた一興といった感じです。
 といっても、時間がだんだんと無くなってきたので、列車の出発時刻の20分前に駅に戻る事にしました。滞在時間は約5分。ちょっと往路で時間がかかり過ぎた様です。

 距離にして、1.5Km程度ですから、20分あれば十分と思っていたのですが、どうやら列車の時間が間違っていた様で、役場前のあたりで、列車の音が聞こえました。あれれ?っと思ったら列車が入ってきたので、小走りに駅に入ったのですが、こちらの駅は有人駅でしたので、切符を購入せねばなりません。駅員さんに、「鎧まで」と告げたところ、この列車に乗るんやったら、すぐに発車するよと急かされ、結局、切符を購入せずに列車に飛び乗るといったことになりました。
 ただ、不思議なんですが、列車交換の無い時間にわざわざ駅舎から遠い2番線に列車を止める必要があるのか?と思うんですが・・・。まぁ、一つは、時間によって、列車の出発ホームが変わるとわかりにくいということもあるのかもしれませんが、わざわざ階段を上がって、向かい側ホームに行かねばならないのは、無駄では無いかと思うんですけどね。時刻表に明記しておくなどの対策で、このあたりは改善されないかなぁと思うんですけど、どうでしょう?
 

 列車にゆられて、約25分。餘部鉄橋の手前、鎧駅に到着。駅には、随分と色あせたNHKドラマ「ふたりっ子」のロケ地である旨の看板が掲げられていました。このドラマがいったいどの様な内容で、いつ頃放映されたものかは全くわかりませんが、看板だけがその記憶をとどめている様に感じます。
 駅は、対向式の2面2線で、下りホームのある山側に駅舎があります。上りホームへは、狭く薄暗い地下道を通って向かう様です。この上りホームの端には、海側に向かってベンチが置いてあり、山陰海岸の入り江を心ゆくまで楽しめる様になっています。といっても、本当にベンチが置いてあるだけなので、他には何もありません。ベンチの先は、見事な絶壁で、私には怖くて近寄る事ができません。見事な景色であることは、わかっているのですが、それとこれとは別問題ってことですね。
 駅といっても、駅前には、ちょっとした集落かあるぐらいで自動販売機すら見当たりません。ひっそりとした田舎の駅といった風情が漂っています。これは、またのんびりできるなぁと思って、鎧駅から少し香住よりに戻ると、なかなか良い列車の撮影ポイントがありました。絵になりそうだなぁと思ったのですが、私には何時間も列車を待つといったことは性格的に出来ないので、一本だけ列車を待って、退散しました。これ、特急なんかだともといい絵になるんでしょうね。
 

 さて、鎧からえっちらおっちらと、国道に出て餘部鉄橋に向かって歩く事にします。餘部駅で下車せずに鎧駅で下車したのは、帰りの列車まで約3時間程度あるので、時間つぶしを兼ねた散策の為です。もともと、餘部駅で下車して、鎧駅から乗車するつもりだったのですが、天候が今一つなので、逆パターンを取る事で、歩いている間に天候が変わらないかなぁと思ったわけです。
 しかし、地図で見るとちょっと大回りな感じだったのですが、実際に歩いてみると、坂がきつくてきつくて、なかなか息が上がりそうになります。特に国道までの間の坂がなかなかのもので、国道に出れば後は、餘部までずーっと下るといった感じです。ただ、坂を下る途中までは、歩道がありませんので、車に気をつけて歩かなければなりません。恐らく、車を運転している人もこんなところを人があるいているとは考えられないでしょうから、カーブで見通しが悪くなる山側ではなく、できる限り谷側をある様にしました。ただ、鎧からの場合、谷側(つまりカーブでは外側にあたる方)は、左側になるので、車が後ろからやってくるので、これはまた、恐ろしいんですよね。対向の方が安心な気もするのですが、やっぱりカーブルの内側は避けたいということで、後ろからやってくる車にビクビクしつつ外側を歩いていました。

 本当に山間の国道ですので、木々が近く、道路と山の間のわずかなスペースに田畑があります。周りに民家が無いので、少し離れたところの方が、車でやってきて、手入れをされているんでしょう。なんだか、しょうもない比べ方なんですが、北海道の田畑とはまた全然違う趣だと改めて思います。北海道の横にひろーい、大地を感じさせてくれる畑もいいですが、こういう日本らしい山が近い雰囲気の畑もいいものです。
 

 しばらくいくと、「愛林碑」というのがありました。横に、「分収造林契約地」とかかれた看板があり、計画的に植林を行い、森作りをしている旨が記されていました。そこには、この山のどこに何を何年頃植えたかが書かれているのですが、昭和30年代後半から行っている事業の様です。専門の公社があり、契約期間もしるされていたのですが、ここはやはり木の話。その契約期間は70年とか80年といった長い期間になっています。高度経済成長期である昭和37年から行われているそうで、あの当時に環境に対する意識があったのだとちょっと驚きでした。いや、別に考え方をすれば、高度経済成長期までは自然が身近にあり、それが破壊されたことに対しても、危機感を身近に感じられたのかもしれません。そこから、どんどんと自然と日本人が共存しなくなり、都市への集中といったこともあって、環境や自然に対してものすごく鈍感になっていったのでは無いだろうかと思いました。今は、これでは、いかんということで、教育面からのアプローチもあって、徐々に自然に対する意識が変わってきているのでしょうが、やはり実感として自然と一緒にならないことには、絶対に頭でわかっていても、実行力が伴わないだろうなと思ったりもします。とまぁ、こんなことを書いているのですが、私がまさにその口で、頭でわかってはいるけれども・・・といった常態です。
 70年契約の半ばを過ぎた時期の山ですが、しっかりと森を形成しており、この事業の素晴らしさを感じるます。やはり木を見ていると、落ち着きますよね。
 

 餘部の集落が見える頃、坂道は平坦なものに変わります。ずーっと気になっていたのですが、先の鎧の集落から、いろんなお家で、鯉のぼりが泳いでいるんです。時期は、随分前に終わった感じなんですが、なんだかゆったりと泳いでいるんですよね。これが、一軒や二軒といった具合では無く、かなりあちこちのお家で、泳いでいます。それも、かなり立派な鯉のぼりなんですよね。今年は、網走監獄で鯉のぼりを見ただけでしたので、ちょっと得した気分です。時期は外した感じですけどね。でも、最近はあまり鯉のぼりを掲げている家って見かけなくなってしまいましたね。どちらかというと、公共施設などであげているものばかりで、個人で上げている方って少ないですよね。でも、餘部の集落では、あちこちの家で上がっていますから、ちょっと感動的に思えたりします。

 平坦な道を歩いていると、「あまるべ温泉センター」と書かれた民家の様な建物を発見。信号脇には、「ようこそ、あまるべ温泉」と書かれたゲートがあるので、このあたりは温泉街だったのかもしれません。時間もまだ2時間ばかりあるので、ちょうど時間潰しにいいやとばかりに、あまるべ温泉センターへ向かいました。ところが、残念なことに営業しているのやら営業していないのやら分からない常態で、温泉センターとは言ってますが、雰囲気からいくと日帰りは受け付けていなさそうです。わざわざ、そこまでして入浴しようとは思わなかったので、周りをうろうろとして、餘部鉄橋に向かう事にしました。

「こんにちわ〜。何してんの〜」

 と小学生の女の子に声をかけられて、「ドキッ」としてしまいました。別に悪い事はしてないし、周囲を歩き回って、何枚か写真を撮っているだけなんですけど、見様によっては、やっぱり不審人物ですもんね。いかんいかん。周囲の探索もほとほどにしていないと駄目ですね。いや、でも挨拶をしながら声をかけてくれる、それが自然であるからこそ、なんとも心地よい響きであったと思います。自然に挨拶するというのは、大きな防犯効果がある様に思いました。私は、不審者ではありませんけど(^^ゞ

 

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