休館日! しょうがないので、歴史文化財研究所の資料館を見学することにしました。ちょうど、総合博物館と民家園の真ん中に位置する施設で、入場無料。歴史には興味があるのですが、遺跡発掘といった類はあまり得意では無いので、特に興味深く見るにはいたりませんでした。ただ、この施設、遺跡調査について広く知ってもらおうという意図で作られている様ですので、興味があると、大きく違ったのかもしれません。壺の復元方法を見ると、なんだか、凄い作業の様で、いったいどうやって原型を思い出して、復元しているのか不思議でなりません。だって、物によっては、ほとんどが石膏で作られているので、復元というよりも、石膏の壺に貼った様な感じすらします(^^ゞ

 何だか、予定していたことの大部分が休館ということで、時間を持て余した感じです。宮崎県内には、他にも資料館があるそうですが、具体的にどの様に行けばいいのかわかりません。観光案内所のある宮崎駅へは、バスまたは電車で移動することになるのですが、宮崎駅まで戻るのがかったるい気がして、あまりこの手を使いたいとは思いません。
 とりあえず、バス停を見つけて、聞いたことのある地名の行先が載っていないか確認しようとしますが、何だかわけがわからない感じです。うーむと悩んだ結果、近くにある総合文化公園の図書館に立ち寄ることにしました。こんな時に、図書館というのは、大変便利です。

 

宮崎県立図書館 回廊 総合文化公園には、他に美術館と劇場があるゆったりとした公園で、神宮の斜め向かいになるのですが、私がいた県総合博物館とは対角に位置する様で、約1キロ程歩かなければいけません。雨はちょうど小降りになってきた所だったのですが、歩いているうちにまたもや本降りになってきてしまい、図書館につくころは結構濡れている感じです。しかし、雨で濡れているのでは無く、自分の汗の方が多い様で、湿度の高さを感じます。

 県立図書館は、かなりの蔵書数で、荷物を預けた後、興味のありそうな本を何点か見つけ、読んでいきます。小説などの場合は、あまりに没頭しすぎてしまい、場合に寄って、買いたくなってしょうがないという自体にも陥りそうでしたので、資料本を中心に何冊か目を通しました。郷土資料などに興味があったのですが、全く知識が無い状態ではどうしようもなく、結局宮崎とは関係の無い本ばかりを読んでおりました。

 

 食事時だったのですが、周囲に食事するところもあまり無く、せっかく宮崎に来たのだから、鶏料理をと思っていた関係で、隣の美術館やホールにある喫茶店は利用する気になれず、食事は後回しということにしました。
 結局、何だかんだと本を読んでいると3時間ばかりが過ぎており、外に目をやると、雨も上がっている様子。ちょっと公園を見てみようかと思って、外に出たところ、隣の美術館に掲げられていた、「横尾忠則Y字路展」の広告が妙に気になりはじめました。美術館というのは、あまり得意では無く、いつも入る度に疲れてしまって、どちらかというと苦手意識が働くのですが、Y字路展の絵は何だか、とても見てみたくなり、美術館に向かうことにしました。

 コレクション展示と特別展のY字路展は別料金になっている様で、時計を見ると、午後3時半前。あまり時間が無いので、Y時路展のみを見学させてもらうことにしました。入館料は500円です。と、2階にあがると、横尾忠則さんが公開製作を行っているとのこと。まだ、未完成の巨大な絵画が2階ホールに置いてあり、画材もそのままになっていました。あまり絵に興味の無い私でも、横尾忠則さんの名前だけは聞いたことがあったのですが、その作品を見て、興味が沸いてきました。ちょうど製作が終わったところだった様で、3時半より20分程度の時間で、ミニトークショーがあるとのこと。Y字路展の入館は後回しにして、ミニトークショーが始まるの待つ事にしました。

 

宮崎県立美術館全景 たまたま、横尾さん本人がやってきて公開製作する日にあたったということは、何だか得した気分です。結局ミニトークショーが始まったのは、10分遅れの15時40分頃。どんな話をされるのかと思っていると、主にはQ&A形式で進むのですが、質問に対しての回答が微妙にずれている感じです。でも、その話の一つ一つは面白く楽しめます。話を聞いていると、横尾忠則さん自信に興味が沸いてきました。

 例えば、「Y字路の魅力とは何ですか?」という質問に対しての回答が、「魅力は何もありません。Y字路を見て、興奮したことは一度も無いし、町を歩いていて、Y字路を探して歩くといったこともしません。ただ、絵の題材にするには、フォルムが美しいかなと思ったぐらいです。」とのこと。
 更に、「犬が描かれている絵が何点かありますが、どの様な意図で描かれたのですか?」という質問に対しての回答が、「初めて犬を描いた際の絵は、病院の前で犬がお腹を出して喜んでいるという物だったのですが、色んな人に犬が死んでいると言われる様になって、生き絶えたところであると説明したら喜んでいただいてねぇ。まぁ、感じ方や意図の読み取りというのは、人それぞれ、千差万別なわけですから、特にこれだということはありません。」

 また、非現実的なことを描いている点については、こうあったら面白いかな?と思ったぐらいのもので、やってみて駄目だったら、消してしまって全く違う様にしてしまうこともあるともおっしゃっていました。というわけで、実際にY字路展の絵画を鑑賞してみると、写実的で現実的な絵なんだけれども、どこか異世界の様な感じがするんですよね。特にそういう雰囲気が出ている絵が私の好みの様でした。

 

Y字路展公開制作の告げる大広告 ミニトークショーということだったのですが、4時20分になっても、終わらない様で、今度は私の時間の方が気になってきてしまい、話途中で展覧会に入場することにしました。大変、失礼なことだとは思ったのですが、5時までに総合文化公園を出たかったので、時間的に苦しくなってきたんですよね。これ以上、話を聞いていると本当に絵を見る時間が無くなるという危機感で、展覧会場に入りました。

 この絵がどうのとか、意図がどうのということは、全く表現できません。芸術的センスが無いので、そういう点に関して語る事はできません。でも、先程も述べた通り、写実的な絵にとても魅せられてしまいます。写真の切り取りを模写しているだけでなく、色々と遊び心をつけて描いているというところが、何ともすごいなぁど思います。写実的な絵画が写実的すぎればすぎるほど、写真となんら変わらなくなってしまうわけで、それ打開するには、やはり非現実的なものを取り入れることができるという点が、写真とは違う面白さなのかと思ったりもしました。
 何度か美術館に訪れたことがあるのですが、今回は訪れて良かったと思えます。なんとなく、気のせいかもしれませんが、何だか気持ちが豊かになった気分です。できれば、横尾さんの作品は何かの機会があれば、見てみたいと思う様になりました。疲れることなく、楽しめた美術館というのは、初めてで、このあたりはやはり本人のトークショーがあってのことだったのかもしれませんし、絵の魅力そのものだったのかもしれません。何かよくわからないのですが、私はかなり惹きつけられた感じがしました。

  

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