次に沖合から、「旧潜戸」を見学します。加賀潜戸には、新潜戸と旧潜戸があるそうで、旧潜戸は仏様の潜戸、新潜戸は神様の潜戸とのこと。有名なのは、新潜戸の方らしく、仏様よりも先に神様の方に向かうとのことで、ちょっと停まった後、すぐに更に沖合へ向かいました。新潜戸の方が、規模も大きい様で、こちらは船が通ることができます。ということで、遊覧船は新潜戸の中に入るのですが、潜戸の入口付近では上から、水が落ちてきており、これを清めの水と呼ばれているそうです。新潜戸の中が神域であるという考えに基づいているということなんでしょう。この新潜戸に入口を通過すると、遊覧船の船のサイズが何故このサイズなのか、わかりました。入口が、とっても狭いんですよね。小さい漁船みたいな遊覧船ですが、その横幅は、新潜戸の中に入るには「ギリギリ」のサイズの様で、それこそ、ほとんど余裕が無い状態で入っていきます。この操船技術といったら、素晴らしいとしか言いようがありません。本当に数センチ単位で、横の岩と当たる様な感じです。
旧潜戸 東側からの新潜戸
 新潜戸に入ると、佐太の大神に関する説明があります。夏至の頃の朝日が洞窟に差し込み、それこそ黄金色に水面が輝く様に見えるそうで、この事から佐太の大神の母君が射抜いた神話に繋がったのだろうという説明がありました。で、ここで海面を見る様に言われて、海面を見ると、水深が浅い様な雰囲気です。入口といい、中といい、遊覧船を運営する側にとっては大変な場所では無いかと思ったのですが、実は「水深が8m」程あるそうで、底が手にとる様に見えるぐらい水が澄んでいるそうです。言われても、本当にそれだけの水深があるのか、にわかに信じがたいものがあります。多く見積もっても2m程度じゃないの?って感じです。映画「白い船」で最初に出てきた海中のシーンがあるのですが、その時も「ホントにこれは島根県の海なのか?」と思ったことがありましたが、それを裏付けるかの様に綺麗な海水で驚きです。
 新潜戸には、3つの穴が空いており、そのうちの入口と出口、そして、横穴があります。出口と横穴はそれほど狭いわけでは無く、入口の狭さだけ特に強調される様な感じです。ちなみに、洞内が明るいのは、横穴があるせいだそうで、この横穴が明かり取りになっているそうです。出口も上から水が滴り落ちしており、こちらは「おちち水」と言われているそうで、この水でお粥を炊くと、母乳の出が良くなると言われているそうです。
的島 新潜戸、西側から
 新潜戸を出ると、今度は的島の方へ向かいます。途中、象岩と言われる、象の形をした岩があり、自然に出来たとは思えない造形に驚きです。それを過ぎると的島で、なんでも、「新潜戸」を射抜く際の的にした島だそうで、新潜戸の入口〜出口とこの的島の穴は一直線に並んでいるそうです。何とも不思議なことがあったもので、自然の不思議さを目の当たりにした感じです。この後は、180度方向転換して、再度、新潜戸に入ります。そして、横穴から出て、潜戸のある岬の説明を受けます。
 そして、今度は、新潜戸を外から眺めて、旧潜戸に向かうのですが、こちらは「仏潜戸」という別名があります。というのも、成人せずに無くなった子供の霊が集まる場所、賽の河原と言われているそうです。賽の河原というと、宮崎県の天岩戸神社を思い出すのですが、こちらの賽の河原でも、同じように石の塔が作られていますが、こちらの伝説によると、子供の霊が石の塔を作っているそうで、地震があって全て崩れた場合でも、翌朝には石が積み上げられていたとも言われているそうです。
旧潜戸の船着場 旧潜戸の崩れた道
 この旧潜戸には船着場があり、200m弱のトンネルを抜けて、旧潜戸にお参りすることができます。旧潜戸に行くと、船着場の跡の様なものが見受けられましたので、以前はこちらに直接つけていたところが、崩落が起きてしまい、新たにトンネルを掘って、お参りすることが出来る様にした様です。その崩落の様子はあまりに無残なんですが、もしかすると数年前に起きた、鳥取県西部沖地震が原因なのでは無いかと思います。
 それにしても、賽の河原の風景というと、本当に怖くなってきます。天岩戸神社の賽の河原も恐ろしい雰囲気が漂っていましたが、こちらもそれと同じ様な雰囲気が漂っています。また、さらにこちらは子供の霊の集まる場所と言われていることから、子供用具が置いてあったりして、それを見ているだけで、胸が詰まる気がしてきます。
 以上で、グラスボートによる加賀潜戸遊覧観光は終了です。約1時間の遊覧だったのですが、なんだかとても良かった気がします。ただ、船を降りた時は、ちょっと船酔い気味であったのは、確かです。あまり乗り物酔いはしない方ですが、小舟には弱い様でした。

 さて、船で案内のあった、桂島に向かうことにします。ちょっとぐらい体を動かしておかないと、ホントに太るぞこりゃってな具合で、少し危機感を覚えているこの頃。いや、元々太っているので、これ以上は太れないってことの方が正しいかな?まぁ、そんなわけで、大体1時間ぐらいの散歩をしようと、桂島の方へ向かいます。グラスボートに乗る前に沢山いた釣り人は、誰一人としていなくなっているのは、不思議な光景でしたが、橋を渡って桂島に入ると、またぽつりぽつりと釣り人が見受けられました。漁港の端にある赤い灯台付近には、大勢の方が釣りを楽しんでいます。気温は、段々と上がってきており、汗ばむ陽気となっています。雨が降るという話もあったのですが、そんなことはどこへやら、所々青空が見えるぐらいにまで回復していきました。

  

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