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なんとなく湯郷 その

 ま、それはともかく、地図に掲載されているショッピングセンターがあったので、そこで剃刀の替え刃を購入しようと、立ち寄ろうとしたところ、どうもこちらも活気が無い様子。いったいどういうことなのかと、中に入ってみると、メインテナントがどうも撤退したあとらしく、専門店のみで営業されていました。おおきな場所を埋める100円ショップにもあまりお客さんはなく、食料品売り場のほとんどが閉鎖され、少しのスペースでほそぼそと食料品を販売されていた様ですが、そのレジにも人はなく(店員もいなかったんですが・・・)、なんとももの悲しげな雰囲気を醸しだしていました。このショッピングセンターの周囲には何店舗かのお店と山陰合同銀行と中国銀行の支店がありましたので、町の中心地として開発したものだと思われますが、今はどのあたりに町の中心が移っているのかは知るよしもありません。ただ、最初に立ち寄った道の駅とその横のAコープは活気がありましたから、そちらに客の流れが移っていると考えられます。

 結局、薬局に立ち寄ったものの、私の求めている替え刃はなく、あきらめて湯郷温泉を目指すことにしました。ふと、地図を見てみると、『郷土資料館』なるものがあります。時計をみると、まだ4時でしたので、これに立ち寄ってから湯郷温泉につかって帰ろうと計画を練ります。場所もそんなに遠く離れていないですから、とりあえずそちらに向かいました。場所は梶並川と吉野川の合流地点にかかり、橋を渡って、古い町並みを歩くと、すぐに見つかりました。郷土資料館と看板がでています。ヨーロッパ調の雰囲気を醸しだす建物が目に入ります。なんでも、元は中国銀行の建物だったそうで、昭和60年代に移転したあと原型に改修し、郷土資料館としてしようしているそうです。小振りながらも本格的なルネッサンス様式である旨が書かれていましたが、残念ながら時間外だった様で、中に入ることはできませんでした。ちなみに、中国銀行の看板もまだ掲げられていましたので、なんとも凝ってるなぁって思いました。
 開館時間は、平日は9時〜16時(あれ?17時だったかな?)と、土曜日が9時〜12時、日曜は休館とのこと。これまた、観光客向けで無いみたいな施設です。う〜む、ことごとく観光ができないと思いながらも、大正時代の雰囲気を彷彿とさせる建物を見るだけでもなかなか満足。窓越しに中をみると、土器類が目に入りましたが、建物自体もさほど大きく無いので、こちらの目玉はやはりこの建物なのだろうと納得して、吉野川をわたり、先程とは逆の東岸を歩いて湯郷温泉を目指しました。

 うんよく、太陽が雲にお隠れになっていますから、心配していた程日焼けはしていない様で、何よりだと思っていたら、こんどはちょっといきすぎて、雨がパラパラっとしてきました。空を見上げると、本格的に降りそうな様子はないので、気にせず、川沿いを歩いていきます。と、ふと対岸をみると、ありましたありました。いつものことながら、ここにもあったんですね〜。淡い桃色の建物、『ファッションセンターしまむら』。いつぞやの日記でも書きましたが、旅先で出会うもののベスト3に入るこの建物。まさかとは思いましたが、紛れもなく、ファッションセンターしまむらそのものでした。う〜む、なんでこんなにツボを突いてくれるかなぁ。などと思いながら、さらに進みます。
 と、ふと川の流れを見て気がついたのですが、このあたりって分水嶺は超えていなかったんですね。太平洋側に川の流れがつづいています。つまり、私が歩いているのは、下流へ向かって歩いているということになります。ごうぎん(山陰合同銀行のこと)があると、どうも川が北に流れるイメージなんですが、ここはまだ太平洋側なんだと妙に納得しながら歩きます。

 イラストマップには、『おう穴群』とあり、そのあたりに釣り人の絵が書かれています。いったいおう穴って何なんだろう?と思いながら、そのあたりを歩くのですが、いま一つ判然としません。これは帰ってから調べないとなぁと思いながら、吉野川の東岸を歩きます。対岸は自然な雰囲気の護岸ですが、こちらは護岸工事が行われ、かなり切り立った感じで道路が整備されています。と、突然『昭和49年7月17日 美作町指定天然記念物吉野川甌穴群』とあります。穴という字があるので、どこかに穴ががあるのかな?と思いながら、川に目をやるのですが、それらしきものはどうも見当たりません。浸食された丸い岩が目に入るぐらいですが、護岸工事の影響か、その岩も割れており、どうもいま一つの景観。いったいこれのどのあたりが、天然記念物なんだろう?と思うものの、一応、写真を撮影。あとから調べようとします。
 ということで、これを書いている時に、調べてみたところ、『川の流れによって岩が浸食されてできた、丸い穴のこと』らしいです(かなり乱暴な書き方をしているので、興味のある方はお調べいただくことをおすすめします)。で、写真を何枚か見てみると、確かにうっすらとそれらしきものは確認できるのですが、う〜む、これがねぇ・・・と思ってしまいます。どちらかというと、ゴミとペンキらしいものが気になってしまい、お世辞にも綺麗とは言い難い雰囲気でした。ちなみに、おう穴で有名なのは、奥津渓谷だそうで、美作三湯の一つである奥津温泉からそう遠くありません。ということから、湯郷温泉からも近いということになりますね(といっても直線で30Km以上もありますが・・・)。

 それをすぎると、いよいよ湯郷温泉の近くまでやってきました。とりあえず、イラストマップに掲載されている露天風呂を目指します。こちらは、湯郷温泉とは少し離れた位置にあるのですが、なぜかイラストマップに掲載されているので、一応、興味本位で向かいました。吉野川にかかる鷺湯橋の近くにあります。近くに行くと、入り組んだ路地の奥に『町営露天風呂』と書かれた看板が目に入りました。なるほど、どうりでイラストマップに掲載されているわけです。
 川向いが湯郷温泉になっており、こちらは『湯郷新温泉』としていました。入湯料が300円というのも、手頃でいいのですが、大きく『シャンプー・石鹸は全面使用禁止』とあります。珍しいお風呂だなぁと思いながら、とりあえず、入ってみることにしました。
 お湯の温度は適温。温泉成分表によると40.1度とありましたので、沸かし湯じゃないのかなぁと思いながら、急に晴れてきた空を見上げ、心地よい気分に。ただ、やはり石鹸・シャンプーが使用禁止なので、気持ちはいいものの、さっぱりした感じがなく、どうも気がかり。お客さんは少なくはなく、常時3〜4人のお客さんが入れ代わりやってこられますが、話の内容を聞いていると、どうも常連さんらしい雰囲気です。お風呂自体は、本当に露天風呂しかなく、一つだけシャワーが突いていました。また、それほど湯船も大きいわけではないので、せいぜい6〜7人が入ったらいいところではないかと思います。脱衣場もさほど大きくありません。時期がちょうどいいので、寒さは感じませんでしたが、冬場にここに入るのは・・・ちょっと考えますね。

 やはり頭を洗いたい、ヒゲを剃りたいというわけで、20分程度でこちらの露天風呂はあとにして、当初の目的地であった、湯郷鷺温泉館へ向かいました。露天風呂からは鷺湯橋をわたり、5分ほど歩いたところにあり、どちらかというと湯郷温泉の中心地に近いところにあります。向かいは、湯郷グランドホテルがあり、温泉街といった雰囲気を醸しだしています。
 外観は思ったりよりも近代的で、なんともイメージが全く違います。まず、下駄箱に靴を入れ、券売機で入浴券を購入します。お値段は1回600円と、一日休憩券1800円があります。休憩の方は、館内着とタオルがついているそうです。今回は、もちろん600円の方です。下駄箱のキーと入浴券を渡すと、脱衣場のロッカーのキーと交換してくれます。確かにこの方法だと余計にロッカーを占領されませんから、きちんと入浴人数なども制限できます。この方法は、なかなか効果的なのですが、うまいことロッカーのキーを渡さないと、無用に脱衣場で混雑してしまうんですよね。こちらの脱衣場は少し狭いので、余計にうまく配分されないと、混雑が激しくなってしまい、今回は、ちょうどそんな感じでした。本当に、着替えるのが大変で、少し待ってから着替えた次第です。
 しかし、難点はそれぐらいで、脱衣場もお風呂も綺麗でかつ、お風呂も各種揃っており、充実していました。今回入ったのは、動の湯だそうで、毎週日曜日に静の湯と入れ代わるそうです。雰囲気は全く違うどころか、サウナにいたっては、動の湯はドライサウナ、静の湯はミストサウナになっているそうです。ここから先は動の湯の話にしぼりますが、露天風呂には滝があり、いい具合に演出してくれています。また、小さな岩風呂が段々に配置されているのもなかなか面白い試みで、お風呂を占領している気分にさせてくれます。全体的に大きくて広いというわけではありませんが、空間をうまく使っているなぁと感心しながら、入っておりました。
 ちなみに、鷺温泉館はもちろん、シャンプー・石鹸は使用可能です。

 さて、18時30分ころにここをあとにしました。林野駅に戻ることを考えると、ギリギリかなぁと思ったのですが、とりあえず、バスの時刻を確認。列車は19時20分過ぎだったはずで、それに間に合うバスは18時54分発。時計は18時35分を指しており、さてさて、どうしようかと悩みつつ、とりあえず、次のバス停まで歩くことにしました。
 立て続けにお風呂に2つ入ったものだから、少し脱水気味だった様で、鷺温泉館ではアクエリアスを500mlを一気に飲んだものの、まだ喉が乾いている様子。、とりあえず、ローソンがあったので、そこで飲み物を購入することにしました。と、ふと『このあたりで泊まるところ無いかな』と思い、ロッピーで当日宿泊の検索をしてみることにしました。日中ず〜っと曇りだったのはちょっともったいないって思ったわけです。
 結果的には近場の施設はなく、岡山市内とか鳥取市内といったところばかりで、津山のあたりの施設もヒットしませんでした。確かに、普通にビジネスホテルを予約すればあるのでしょうが、そこまでする気はなかったので、1リットルの生茶を購入して、ローソンの店員に一番近いバス停を聞いて、ローソンをあとにしました。
 で、一応、10分程度でここまでやってきたのですが、一番近いバス停は、先程のバス停だったらしく、時計をみると18時47分。こりゃやばいと、急ぎ足で元のバス停、湯郷温泉下まで向かうことにしました。バスがまだ行っていないことを願って、戻ります。なんとかバス停に到着したのは18時55分。少し遅い時間なのですが、バス停の方を先程から凝視しながら歩いてきましたが、それらしいものが通過した様子はないので、まだやってきていないと踏んでバスを待つことにしました。といっても、30秒ほどで林野行きのバスが到着。ギリギリといった形になりました。
 余談になりますが、バス停の時刻表をみると、『通過時刻』となっています。うちの地元では、バスの時刻表は『発車時刻』になっているので、ちょっとした表現でも地域性を感じます。確か、通過時刻の表記を最初にみたのは、青森だったと記憶しています。今では、結構通過時刻の方をよくみるので、実は、発車時刻の方がマイナーなのかなぁと思う様になりました。

 ちなみに、私がバス道だと思っていたのは間違いで、バスはすぐに温泉街を通る、細い道に入ります。私が、立ち寄ったローソンの前は全く通らない形でしたので、ローソンのお兄ちゃんが説明してくれた一番近いバス停は湯郷温泉下であるということも納得しました(本当は、ちょっと信じてなかったんですね)。
 ほんの10分程度で到着。運賃140円。一時間近くかけて歩いてきた私がちょっと情けなく思った瞬間でした・・・・。でも、2万歩いったし、健康にはこれがいいと思うことにして、林野駅に。19時頃になると、改札口に人はいない様で、無人駅状態となっています。若いお姉さんが、なんでかホームに向かう構内道の真ん中で化粧をされていたのに、驚きながら、ホームで列車を待つことにしました。

 夕暮れが綺麗で、あの厚い雲はどこにいったのか?と思わす感じですが、夕闇がせまるとなんともローカル線ムード漂うホームがとても良く思え、思わずカメラを使って撮影することにしました。
 で、ふと気がついたのですが、どうも昔はホーム1面2線の島式であったのでは無いかと思われる雰囲気が漂っていることに気がつきました。というのも、なくてもいいはずの方に白線が引かれていたり、通常はあるはずの柵がなかったりするわけです。今は、マンションがホーム近くまで敷地を広げているので、それらしい決定的な遺構を見つけるのは難しいのですが、妙に広い駅舎までの構内といい、マンション側のホームの下の造りといい、どうも昔は2線であったのが、合理化の際に1線になり、今は、その線路用地がマンションに引き払われたのでは無いかと推測されました。

 ということで、夕闇せまる19時26分に佐用行きワンマンカーに乗車し、美作町をあとにしました。このあと、列車の乗り継ぎの都合(姫新線だけで帰る場合、佐用での乗り継ぎが最悪で、1時間40分待ちになるんです)で、佐用からは智頭急行、山陽線、山陽電鉄、神戸高速、阪急電鉄の経路で帰宅したしました。
 ちなみに、佐用から乗車した智頭急行線の列車の乗客は私だけという寂しい状態。他にも、何人かのお客さんが佐用で乗り換えたのですが、みなさんスーパーはくとで大阪に向かわれたみたいで、ローカル列車に乗車したのは私だけでした。なんとも寂しいなぁと思いながら、乗り換え時間の間に調達したセイコマートのお弁当を食べておりました。

 そうそう鷺湯温泉館で、たまたまチラシを見つけたのですが、5月25日はスロベニアチームとの親交デーになっていた様で、少年サッカー教室などが開かれていた様です。これをみていると、大会前だというのに、大変なもんだなぁと思いながら、サッカーが好きな人たちにはたまらない企画だろうなぁと思いました。しかし、選手にとってみると、息抜きになればいいですが、負担にならないかと妙に心配する私でした。

 ということで、それなりに、充実した日帰り旅行の湯郷温泉でした。

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